マンションにおける大規模修繕の進め方は?準備から工事完了までの手順を解説
2025年1月14日
マンションの大規模修繕は、12~15年に一度のペースで行う重要な工事。工事の規模も大きく、期間も長期にわたるため、「まず何から始めればよいのだろうか…」と進め方に悩んでしまうマンションオーナーの方も少なくありません。
そこで今回は、マンションにおける大規模修繕工事の流れや進め方についてまとめていきます。また大規模修繕で気を付けておくべきポイントも紹介していますので、
「大規模修繕では、まず何から始めればいいのだろうか…」
「どんなことに注意をすべき…?」
「どんな施工業者に依頼すればいい?」
…などでお悩みの方は、ぜひ参考にご覧ください。
大規模修繕工事とは?
大規模修繕とは、12~15年周期を目安にして、建物の全体または複数の部位の修繕を行う大規模な計画修繕工事のことを指します。
マンションやビルなどのあらゆる建物は、雨風や紫外線、また自然災害などのダメージによって月日を追うごとに劣化していきます。築年数が長くなればなるほど、建物のさまざまな部分に劣化が見られるようになるため、これら修繕するために工事を実施する必要があります。その修繕工事の中でも、建物全体の外壁塗装を行う、複数箇所の共用設備の補修・更新を行うような比較的大きな規模のものを「大規模修繕工事」と呼んでいます。
この大規模修繕では、主に下記のような箇所の劣化や不具合を調査した上で修繕工事を行います。
マンションにおける大規模修繕の主な工事範囲
外壁 | 下地補修、タイルの張り替え、塗装…など |
屋上 | 防水工事 |
廊下・階段・バルコニーなど | 床防水の補修・修繕、壁面塗装…など |
鉄部 | 錆取り、塗装、取替え…など |
給排水管 | 補修・取替え |
設備関連 | 電気・消防設備などの補修・設備取替え…など |
外構 | 道路の舗装、フェンスの補修…など |
大規模修繕では、工事規模も大きく費用も高額となります。また、特に外壁塗装や共用設備の取り替えを行う場合は、一時的に設備が使用できなくなるなど、居住者の生活に制限が出ることもあるため、修繕工事がスムーズに進行できるように、基本的な進め方を理解した上で、自社に合った無理のないスケジュールを立案する必要があります。
関連記事:「2回目の大規模修繕は1回目よりも費用がかかる?マンションにおける大規模修繕の周期目安や費用の相場・注意しておきたいポイント」
大規模修繕の進め方は?
マンションの大規模修繕は一般的にどのような進め方で実施すれば良いのでしょうか?
ここからは、大規模修繕の準備から工事完了までの進め方について、わかりやすくまとめていきます。
大規模修繕の進め方①:修繕委員会の発足
マンションの大規模修繕工事を行う際には、まずは管理組合の体制を整えるために「修繕委員会」を設置します。
修繕委員会とは、大規模修繕に対する意見を集約するほか、予算審議や建物調査時の立ち合いなど、大規模修繕工事全体の進行をリードしていく組織のことです。
一般的なマンションの大規模修繕では、この修繕委員会のメンバーを中心に計画を進めて行くことが多いですが、必ずしも修繕委員会を設置しなければいけないというわけではありません。しかし、修繕委員会が計画全体を主導していくことで工事が円滑に進みやすいというメリットもあるため、管理組合の状況によって発足の有無を検討しましょう。
大規模修繕の進め方②:建物調査診断の実施
マンションの大規模修繕を実施するには、あらかじめ建物がどのような状態であるかを正確に把握しておく必要があります。
そこで必要なのが、建物調査診断です。
建物調査診断とは、劣化状況や不具合の有無など、建物の状況を把握するために実施する調査のこと。建物の管理会社や修繕工事の施工業者などに依頼をし、専門の調査員の診断結果をもとに、工事の要否や優先度などを決定します。
大規模修繕の進め方③:修繕計画と資金計画の作成
建物調査診断で建物自体の劣化状況が把握できた後は、修繕計画と資金計画の策定に進みます。
明らかな劣化が見られるなど、建物調査診断で早急に修繕する必要があると判断された箇所については優先的に工事計画に入れるようにしましょう。なお、計画を立てる際は、修繕の必要性や優先度のほかにも、居住者の要望や工事効率なども考慮しながら工事内容を検討することが大切です。
また、修繕計画と同時に資金計画を検討する必要もあります。
マンションの大規模修繕工事を行う際には、修繕積立金を充てるのが一般的。建物調査診断によって修繕箇所を把握すれば、おおよその費用目安が算出できるため、修繕計画を練る際に資金計画も作成しておきましょう。
なお、大規模修繕工事の見積もりはあくまでも概算となる点には注意が必要です。実際には、着工後に必要な工事箇所が増えるということもありますので、余裕を持った資金計画を立てておきましょう。
大規模修繕工事の費用が足りない場合の対処法については、こちらの「大規模修繕の費用はいくら?工事費用の相場や足りない場合の対処法について解説」でご紹介していますので、参考にご覧ください。
大規模修繕の進め方④:施工業者の選定
修繕計画と資金計画を策定した後は、大規模修繕工事を実施する施工業者の選定に移ります。
施工業者を選定する際は、複数の会社に見積もりを取って比較検討をするのが一般的です。大規模修繕は、規模も大きく工事期間も長いため、費用面での比較はもちろんですが、プレゼンテーションの場を設けるなどで工事内容や施工方法などをしっかりヒアリングするようにしましょう。金額面だけでなく、施工業者の特徴や考え方などを踏まえて選ぶことが大切です。
なお、施工業者の選定ポイントは、この後の「【大規模修繕の進め方】気を付けるポイントは?」内でご紹介しています。
大規模修繕の進め方⑤:総会開催、及び施工業者と契約
大規模修繕の工事計画や予算などの概要が決まったら、総会を開催して決議を取ります。
総会では、管理組合員に向けて「どんな工事内容なのか」「予算はどれぐらいか」「どの施工業者に依頼するのか」などの説明・報告を行います。この総会で管理組合の承認を得ることで、施工業者と正式に契約を交わすことができるようになります。
大規模修繕の進め方⑥:工事説明会の実施
総会で大規模修繕の承認を得たら、次はマンションの居住者に向けて工事説明会を開催します。
この工事説明会は、着工の1カ月前を目安に開催。大規模修繕工事の概要や工事期間中の注意事項などを説明しておきましょう。特に工事期間中は、
- バルコニー・ベランダの使用について制限がかかる
- エレベーターやライフラインが一時的に使用停止になる
…などのケースもあります。ですので、居住者の理解・協力が得られるよう、丁寧に説明することが大切です。
大規模修繕の進め方⑦:工事開始
居住者への工事説明会が終われば、ようやく工事開始となります。
大規模修繕が始まったら、工事の進捗状況を小まめにチェックするようにしましょう。着工後に追加工事が必要な箇所が見つかることもありますし、居住者とトラブルが発生しているケースもあります。ですので、施工業者とは密にコミュニケーションを取っておくことが大切です。
大規模修繕の進め方⑧:竣工・引き渡し
大規模修繕工事が終わったら、契約内容通りに工事が行われたか、不具合はないかなどを確認するための竣工検査を行います。
もし竣工検査委の際に、不具合が見つかった場合は施工業者と相談し、不具合箇所を直してもらう必要があります。そのため、工事完了後にトラブルにならないように、しっかりチェックするようにしましょう。
問題なければ工事の内容を記録した竣工図書や工事保証書などを受け取って、大規模修繕が完了となります。
関連記事:「大規模修繕工事にどれぐらいの期間が必要?規模別・工事内容別の期間目安や工事の流れを解説」
関連記事:「大規模修繕とは?費用に見合う工事の進め方!」
【大規模修繕の進め方】気を付けるポイントは?
計画通りに進むとは限らない
大規模修繕は、必ずしも計画通りに進むとは限らない点には注意しておきましょう。
着工後に追加で修繕が必要な箇所が出てくることもありますし、大雨や強風などの天候次第で予定通りに作業ができないこともあります。
工事に遅れが出ることにより居住者の生活にも影響が出てしまうため、あらかじめスケジュールには余裕を持たせておく、また、施工業者と定期的に打合せを行ったり報告を受け取る…などで常に最新の状況を把握。小まめに住民への周知を行うようにしましょう。
次の大規模修繕のことも考えておく
大規模修繕は、12~15年周期を目安に実施する必要があります。そのため、工事完了時に受け取る竣工図書はきちんと保管しておくようにしましょう。
竣工図書には、見積もりから工事の工程表や工事記録、資材リストなどがまとまっているため、次の大規模修繕の際に「前回の大規模修繕ではどのように行ったのか」を知るための資料となります。
また、工事が終わったからと安心するのではなく、次の大規模修繕を視野に入れ、長期修繕計画の見直しも実施するようにしましょう。
長期修繕計画とは一般的に10~30年程度の期間でどのような修繕を行うべきかを計画したもの。今回の大規模修繕の工事内容をこの長期修繕計画に反映させ、次の大規模修繕に向けて必要な費用などを確認しておくようにしましょう。
信頼できる施工業者に依頼する
大規模修繕を円滑に進めるには、信頼できる施工業者を選ぶことが大切です。
【施工業者の選定ポイント】
- 大規模修繕工事の実績は十分にあるか
- 会社の経営状態は問題ないか
- 見積書の工事項目が詳細に記載されているか
- 工事保証・アフターサービスは充実しているか
- 現場監督・担当は居住者と円滑にコミュニケーションが取れる人柄か
大規模修繕は期間も長く、費用も高額になります。そのため、施工方法やアフターフォローなどで大きな差が出てきてしまいます。上記のようなポイントを押さえておくことで、優良な施工業者かどうかを見極めることができますので、費用面だけで施工業者を選定するのではなく、工事内容や会社としての取り組み方や仕事への姿勢などを含めて判断するようにしましょう。
関連記事:「大規模修繕工事の内容をわかりやすく解説!失敗しない進め方は」
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マンションの大規模修繕なら白鳳にご相談を!
今回は、大規模修繕の進め方について解説してきました。
マンションの大規模修繕は、1回で終わりという訳ではなく、建て替えまでに定期的に行う必要があります。工事範囲も広く工事期間も長期間にわたるため、長期的なスパンでケアを考えてくれる優良な施工業者に依頼することが、マンションを長く安全に維持することにつながります。
私たち「白鳳」は、施工実績6,000件以上の大規模修繕工事専門店です。
これまでの豊富な現場経験をもとに、お客様のご希望に寄り添った大規模修繕工事を実現します。ご相談は無料となっておりますので、大規模修繕・外壁塗装でお悩みのマンションオーナー様はぜひ一度お問い合わせください。