マンションの大規模修繕に足場は必要?工事に使用する足場の種類と費用の目安・注意点は?
2025年1月8日
マンションやビルなどの大規模修繕に欠かせない仮設足場。高所での作業を円滑に進めるためにも、設置するのが望ましいのですが、足場設置にかかる費用は、その規模によって工事費用の1~3割程度と大きな割合を占めるため、中には「本当に必要なのか」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、大規模修繕における足場設置の目的や重要性をまとめるとともに、代表的な足場の種類や足場設置費用の計算方法、また、大規模修繕において足場設置を行う際の注意点などについて解説していきます。これから大規模修繕を迎えるマンションオーナー様の参考になる内容となっていますので、ぜひ参考にご覧ください。
<目次>
大規模修繕ではどうして足場が必要?
大規模修繕では、外壁や屋上、階段や屋内の共用設備など、さまざまな箇所の補修工事を行いますが、中でも高所での作業を行う際に必要となるのが“足場”です。
この足場を設置することで、マンションやビルなどの高い建物でも移動がしやすくなり、効率的に作業を行うことが可能。さらに、足場が安定すれば安全性が確保できるほか、作業員が手元の作業にも集中できるので、施工品質も向上します。また、足場に塗料の飛散防止ネットや防音シートを張ることで、大規模修繕における入居者や近隣の方とのトラブル防止にもなるなど、大規模修繕において足場を設置するのには、さまざまな理由が含まれています。
【足場設置の目的】
- 安全性の確保
- 作業の効率化
- 施工品質の向上
- 入居者や近隣への配慮
大規模修繕は建物の規模によって、工事が始まってから完了までに全体で数カ月~長ければ1年を超えるケースもあります。日々のメンテナンス作業とは違って施工範囲が広く長期にわたる工事となりますので、適切に足場を設置し、安全性と作業効率をしっかりと確保しておくことが非常に重要となります。
関連記事:「大規模修繕工事にどれぐらいの期間が必要?規模別・工事内容別の期間目安や工事の流れを解説」
大規模修繕における足場の種類
大規模修繕工事で設置する足場にはいくつか種類があり、建物や設置場所の条件などによって使い分けられています。
ここでは、代表的な「単管足場」「枠組足場」「クサビ緊結式足場」の3種類の足場について特徴をまとめていきます。
単管足場
単管足場とは、直径48.6mmの単管と呼ばれる鉄パイプを、クランプと呼ばれる金具で組み合わせてからボルトで固定する足場のことです。自由度が高く、足場の幅や高さが調整しやすいため、狭い場所での設置や複雑な形状をした建物などにも対応可能となっています。
一方、この単管足場は、単管パイプをボルトで固定していくという特性上、他の足場と比べて設置と解体に時間がかかるのがデメリットだと言えます。強度もそれほど高くないため、比較的、低層の建物に使用されることが多い足場です。
枠組足場
枠組足場とは、鋼管を門のような型に溶接した枠組みをベースに組み立てていく足場のこと。その耐久性や組み立てる工数があまりかからないという特徴から、大規模修繕や建設現場で最も一般的に使用されている足場となっています。
ただ、この枠組み足場の部材を仮置きするには広い敷地が必要であること、また、コストも高めである点には注意が必要です。
クサビ緊結式足場
クサビ緊結式足場とは、部材の接続部分に「クサビ」と呼ばれる金具をハンマーで打ち込んで組み立てる足場のことです。
部材が比較的小さくまとめやすいため場所を取らず、組み立て時間もあまりかからないので、修正も素早く対応できます。設置の際にハンマーで叩くため騒音対策は必要ですが、さまざまな部材を組み合わせることができ、狭小地や複雑な形状の建物にも対応可能。主に中低層の建物で使用されている足場です。
大規模修繕における足場の設置費用は?
メリットも多く、大規模修繕には欠かせない足場ですが、設置にどれぐらいの費用がかかるのでしょうか?
足場にかかるコストは、人件費・足場用部材のレンタル費・運搬費などが含まれており、一般的に「足場架面積 × 平米単価」で計算します。
足場費用=足場架面積 × 平米単価 |
「足場架面積」とは、足場を作る面積のこと。一般的に、足場は建物から少し離して設置します。ですので、建物の外周に8mを加えて計算します。
足場架面積 = (マンションの外周 + 8m)× 高さ |
「平米単価」は、1平方メートルあたりの金額のこと。平米単価については、足場の種類や施工業者、地域によって異なりますが、約800〜1,500円程度が相場となります。
大規模修繕における足場費用の計算例
例えば、「外周100メートルで高さ20メートルのマンション、足場の平米単価が1,000円」という条件の場合、下記のような計算となります。
足場架面積の計算式 :(100m + 8m)× 20m = 2,160㎡
足場費用の計算式 :2,160㎡ × 1,000円 = 2,160,000円
上記の計算式で行くと、この場合の足場費用は216万円になります。
この計算式は、あくまでも目安を確認するためのものです。大規模修繕を実施する際には、業者からの見積内容と金額をしっかり確認し、不明点がある場合は事前に確認しておきましょう。
大規模修繕で足場を設置する際の注意点は?
マンションの大規模修繕工事に欠かせない足場ですが、実際に足場を設置する際には、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?
足場が必要な修繕はまとめて実施する
大規模修繕では、外壁や屋根など足場が必要になる工事が複数あるケースも少なくありません。
それらを別々に行うと、その分、足場設置にかかる費用や労力もかかってしまうため、足場が必要となる工事はまとめて行うようにしましょう。
足場の施工会社が保険に加入しているか
大規模修繕を実施する際には、施工会社が保険加入しているかチェックしておくことも大切です。
例えば、足場設置の際に部材や道具が落下させてしまった場合、落下したものが建物や駐車場の車に傷を付けてしまった、通行人にあたって怪我をさせてしまった…などの事案が発生する可能性もあります。このような事故が起こった場合に施工会社側にしっかり補償してもらえるかを確認するためにも、あらかじめ「瑕疵(かし)保険」に加入しているかどうかを聞いておくようにしましょう。
管理会社に丸投げしない
大規模修繕の施工会社をマンションの管理会社だけに丸投げするのは避けましょう。
マンションやビルのオーナーの方は、管理会社に大規模修繕の施工会社選びを任せることも少なくありません。しかし、丸投げ状態になってしまうと管理会社にとって都合の良い業者が選ばれてしまい、大規模修繕の工事費用が必要以上に高額になってしまう可能性もあります。
ですので、業者の選定を行う際は管理会社に丸投げするのではなく、管理組合側で主導しながら複数の業者に相見積もりを取るなど、しっかり比較しながら進めるようにしましょう。
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マンションの大規模修繕なら白鳳にご相談を!
今回は、大規模修繕における足場の設置についてについて解説してきました。
マンションの大規模修繕においては、適切な人数かつ公平な人選で管理委員会を結成すること、予算にあった発注方法を選択すること、アフターケアまで考えてくれる業者を選ぶことが大切です。
マンションは建て替えまでに数十年という期間があります。その間、複数回にわたって修繕が必要になるため、長期的なスパンでケアを考えてくれる施工会社に依頼することが、マンションを長く安全に維持することにつながります。
私たち白鳳は、これまでの豊富な現場経験を元に、お客様のご希望に寄り添った大規模修繕工事を実現します。ご相談は無料となっておりますので、大規模修繕・外壁塗装でお悩みのマンションオーナー様はぜひ一度お問い合わせください。