コラム

大規模修繕とは?費用に見合う工事の進め方!

2021年9月6日

大規模修繕とは?費用に見合う工事の進め方!

マンションの大規模修繕とは、建物の安全性を維持し、資産価値を守るために行う工事です。

約12年に1度のペースで行う大規模修繕は、工事範囲が広く、高額な費用がかかる上に限られた予算の中で行う必要があるため、入念に準備して進める事が大切です。

この記事では、マンションの大規模修繕の工事内容や費用、期間などについてくわしく解説します。また大規模修繕で、発生しがちなトラブルについてもまとめているので、事前に対策を講じておきましょう。

大規模修繕とは?他の工事とどう違うの?

国土交通省のガイドラインによると、マンションの大規模修繕とは「快適な居住空間を確保し、資産価値や建物性能を向上するための修繕工事および改修工事のうち、工事内容が大規模・工事費が高額・工事期間が長期間にわたるもの等をいう」と定められています。

そもそも「修繕」とは経年劣化などで、建物や設備に不具合が発生した際に、修理や部品交換などを行い、新築時の状態に近づけるよう、「原状回復」することを意味します。

似た言葉に「補修」がありますが、補修工事では漏水など建物に不具合が生じた際に、その都度「応急処置」として行う工事を指しています。

また大規模修繕では、原状回復するための修繕工事と、改修工事を同時に行うこともあります。

「改修工事」では劣化した部分を修繕することに加えて、新築時より高い機能を組み込む工事であるため、大規模修繕に改修工事を織り込むことで居住性を高めたマンションにすることができます。

参照:国土交通省 長期修繕計画作成ガイドライン

大規模修繕の工事内容は「専用部分」も対象?

ここからは大規模修繕の工事内容や工事範囲について見ていきましょう。

大規模修繕の工事範囲は、居住者全員が使用する屋上や外壁、廊下、エレベーターなどの「共用部分」の工事が対象です。「専用部分」である居室は、そこに住む居住者が、傷み具合を踏まえた上で必要なお手入れをします。

大規模修繕での具体的な工事内容は以下のとおりです。

修繕工事項目工事場所・内容
外壁工事コンクリート補修、タイル張替え、シーリング打ち替え
防水工事屋上、階段、開放廊下、バルコニー
鉄部塗装屋上フェンス、配電盤など
内部の補修工事エントランス エレベーターホールなど
設備工事電気、給水・排水管、消防避難設備など
仮設工事足場の組み立て

大規模修繕では、雨風や直射日光などのダメージを受けやすく、劣化が進みやすい、「外壁塗装・防水工事」を主に行います。

また、外壁塗装を行う時など足場を組む必要があるため、「仮設工事」も基本的には行うものと考えておきましょう。

参照:国土交通省 長期修繕計画作成ガイドライン

 

大規模修繕の周期は?12年が目安になっている理由

大規模修繕の周期は、一般的に約12年に1回のペースで行われます。

その理由の一つに、国土交通省のガイドラインで、外壁塗装などの「建物」に関する工事は12年目を目安に行うとしていることがありますが、その他にも塗料の寿命などが関係しています。

マンションに使われる塗料の寿命は平均すると8年、長持ちして12年です。外壁に塗料を塗る事で塗膜ができ、建物は保護されていますが、経年劣化によって塗膜の効果が薄れると、そこからひび割れ・浮きなどが生じ、建物を守ることができなくなります。

そのため、建物の劣化が深刻化する前であり、修繕箇所が比較的少ない12年目を一つの目安として大規模修繕を行うことが多くなります。

ただ、立地条件や住環境には違いがあるので、雨が多い、海が近い、大通り沿い、大部分が日陰に入るなど、土地や建物の周辺環境も考慮して大規模修繕を行うことが大切でしょう。

2回目、3回目の大規模修繕では何をするの?

大規模修繕は約12年周期で工事を行いますが、2回目は1回目とほぼ変わらない工事で済むことが多く、3回目になると共用部やサッシまわりの取替えを行う工事が追加されることがあります。

マンションは築年数に応じて劣化が進むため、工事の回数を重ねるごとに修繕範囲が広くなりますが、大規模修繕の前に、部位別の小規模な修繕をすることで、建物をより長持ちさせることができるでしょう。

大規模修繕の費用の目安は?1戸当たりの平均額

気になる大規模修繕の費用について確認していきましょう。

国土交通省発行の「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」による、戸あたりの修繕費用の統計結果です。

戸あたり費用 割合
75万円~100万円30.6%
100万円~125万円24.7%
50 万円~75万円13.8%

大規模修繕の1回の費用は分譲マンションの場合、1戸当たり60~70万程度、賃貸マンションであれば30~50万程度が想定されますが、マンションの規模によっても変動します。

仮に分譲マンション50戸での大規模修繕では、3,000~3,500万円ほどの費用がかかる計算になります。

尚、大規模修繕の費用は、マンション購入時に修繕積立金という形で提示し、毎月徴収するのが一般的です。

関連記事:大規模修繕工事の費用を徹底解説!

困った!修繕積立金で工事費用を賄えない時はどうする?

国土交通省のマンション総合調査によると、工事費用において修繕積立金だけでは不足してしまうケースが、全体の3割を超えているとの結果が出ています。

修繕積立金で工事費用が賄えない場合は、以下3つの中から選択することが多いでしょう。

・居住者から一時金を徴収する
・ローンやリースを利用する
・自治体などが実施する助成金を活用する

居住者の同意を得て一時金を徴収したり、また金融機関からの借り入れを検討したりします。また自治体によっては、大規模修繕に対して助成金を出しているところもあるので、情報収集を日頃から行っておきましょう。

そして繕積立金の範囲内で工事をするためには、優先順位を立てた工事を計画すること、費用面に関して親身に相談に載ってくれる業者とパートナーになることが大切です。

参照:国土交通省 マンション総合調査

大規模修繕工事の進め方・期間

大規模修繕の工事期間は、建物の規模によっても異なりますが、基本的には2ヶ月から3ヶ月は要します。

また工事が始まるまでに、修繕計画の作成・検討や修繕委員会の発足、居住者への説明などで、1年から2年を要するため、より良い工事を行うためにも、早めに準備を始めると安心です。

ここからは具体的な大規模修繕の進め方について見ていきましょう。

STEP1.準備

・修繕委員会の発足
・修繕計画の検討
・工事形式の選択

まずは、大規模修繕を段取りよく進めていくため、専門委員会として修繕繕員会の発足をします。そしてどのように工事を進めるのか、設計から管理まで委託する責任施工方式か、設計と施工が分離する設計管理方式かなど発注方式も検討します。

そしてマンションの新築時に策定した修繕計画をもとに工事を行う時期などを考えます。

STEP2.計画

・劣化診断
・施工会社選び
・資金計画の検討

計画の段階では、建物の劣化状況を知ることが大切です。劣化状況を知るには、業者に診断を委託しますが、その他にも居住者へのアンケートとり、不具合に感じていることはないか聞き取りを行うことも有効でしょう。

また施工会社からの工事見積りを貰ったら資金面で賄えるのか、資金計画についても検討します。

STEP3.実施

・工事説明会の実施
・近隣住民への挨拶
・工事実施、竣工検査

施工会社との契約を終えたら、実際の修繕工事に入りますが、工事を行う前に居住者への説明会や近隣住民への挨拶は欠かせません。

大規模修繕では、ホコリ、騒音、臭気はつきもので、かつ工事は数ヶ月に及ぶため、周囲の協力・理解がない状態では、円滑な工事はできないでしょう。

また工事が始まったら、工事内容や進み具合をこまめに確認し、問題なく工事が進められているか把握しましょう。

STEP4. アフターケア

・工事後の定期検査
・修繕計画の見直し

修繕工事が終わった後は、定期検査の日程などアフターケアについて確認し、適切な管理を継続して行います。

また修繕計画は5年ごとの見直しが推奨されていますが、その際に修繕積立金の見直しも行いましょう。劣化具合や、修繕に必要な建築資材の価格が日々変動していることもあるので、定期的に見直しを行うことで、次回の大規模修繕がスムーズに進められます。

大規模修繕の発注先はどこにする?

大規模修繕の発注先では、以下の3つの方式の中から選ぶことになります。それぞれのメリット・デメリットについて見ていきましょう。

管理会社発注方式

管理者発注方式では、劣化診断から工事までの全てをマンション管理会社に委託する方法です。

管理会社は日頃マンションを管理しているため、状況把握がスムーズです。またマンションの管理組合が管理会社と良好な関係である場合、信頼できる担当者に一切を任せることができるというメリットもあります。

デメリットとしては、設計や施工がほぼ外注となるため、予算が高くなったり、施工会社の選定が不透明になったりという点があるため、全てを任せきりにしないことが大切です。

責任着工方式

責任着工方式は、管理組合で選定した工事業者が建物調査から施工までを行う方法です。

この方式のメリットは、複数社から見積もりを取ることによって施工会社を比較することができ、費用を抑えられることです。

デメリットとしては、優良業者を選ぶのが難しい点や、施工のチェックが甘くなることで、施工会社選びで失敗しないためには、実績のある施工会社を選ぶことが大切です。

設計管理方式

設計管理方式は、「設計施工分離方式」とも呼ばれ、建物調査と工事方法の策定は外部のコンサルタントに依頼し、施工は別の業者が行うというものです。

この方式のメリットは役割分担が分離しているため、価格の透明性が確保しやすく、大規模修繕全般のアドバイスが貰えたり、施工の品質チェックが公正に行える点です。

デメリットとしては、コンサルタントに払う費用、施工業者に払う費用がそれぞれ発生するため、工事費用が高額になりがちな点です。

また悪質なコンサルタントの場合、工事業者と癒着して工事料金を吊り上げるというケースも多く報告されてるので、コンサルタントの選定は慎重に行わないといけません。

 

要注意!大規模修繕でおこりがちなトラブル

大規模修繕では、いくら綿密に計画をたてて工事を進めていても何らかのトラブルが発生するため、事前によくおこりがちなトラブルについて確認しましょう。

居住者とのトラブル

居住者とのトラブルで起こりやすいのが「騒音」「臭気」のトラブルです。

騒音に関しては、外壁の補修工事・足場を組む仮設工事のときに、電動カッターや、ドリルの大きな音が発生し、不快に感じる居住者もいます。

こういった騒音に対して苦情が発生しないように、施工会社と打合せをして騒音が発生する時間を決めておき、その時間内で工事をすると決めておくことや、居住者には騒音が発生する時間帯も伝えておくことが大切です。

臭気に関しては、塗料から発生する揮発性のシンナーが強いニオイを発生させるため、トラブルになることがあります。臭気のトラブルを避けるためには、臭気の少ない塗料がないか施工会社に聞いてみるのも一つの方法です。

その他には事前に居住者にアンケートをとり、お子さんのアレルギー有無の確認や、高齢者の方の身体的理由などから臭気に耐えられるかどうかの聞き取りをしておくのも有効です。

近隣住民とのトラブル

大規模修繕には騒音・臭気・ホコリはつきもので、工事期間も長期にわたることから、不快感を募らせる近隣住民もいるでしょう。

それだけではなく、工事車両や業者の出入りについて「通行が邪魔された」と苦情が届くことがあります。

こういったトラブルを回避するためには、工事前の挨拶・お知らせを徹底しておくことが大切です。基本的に、近隣住民への挨拶は施工会社が行いますが、工事前・工事中・工事後とこまめに近隣住民に挨拶をしてもらうよう、施工会社に依頼しておくことも大切です。

施工会社とのトラブル

大規模修繕では、仮設の足場を設置することで、新たに補修箇所が見つかり、工事が追加されることがあります。

追加の工事内容や費用に対して、管理組合と施工会社で合意があれば問題ありませんが、合意がなくそのまま行われ、工事完了時に請求された場合は大きな問題になります。

こういったトラブルを防ぐためには、見積り内容に工事のどこまでが含まれているのかを事前に目を通しておく、追加工事が発生する場合はその都度見積りをもらうなど、取り決めをしておくことが大事です。

また工事を終えたものの、数年も立たないうちに水漏れが発生したなどの不良箇所が見つかった場合は、施工会社にすぐに連絡しましょう。保証期間内であれば無償で対応してもらえることもあります。

失敗せずに大規模修繕工事を進める!2つのポイント

大規模修繕工事を円滑に進めるために、気をつけたいポイントをまとめました。

前計画を綿密に立てる

マンションの新築時に修繕計画を立てるのが一般的ですが、住み始めてみて実際に生じる劣化はさまざまで、計画通りの工事が行えない場合も多くあります。

また実際に工事を行う前には、建物の劣化診断・工事場場所の確認・資金面の検討・居住者への説明などさまざまなプロセスが発生します。

円滑に大規模修繕を進めるためには、定期的に修繕計画や修繕積立金を見直して、大規模修繕について知識を深めていくことも大切です。

業者選びは慎重に

大規模修繕を成功させるには、パートナー選びが大きなカギを握っています。

大規模修繕は定期的に行うため、1回限りだけではなくて、長く付き合えるパートナーを選ぶと良いでしょう。そのためには、予算にあった提案をしてくれたり、20年先や30年先のことを考えて今何をすべきかを提案してくれる会社を選ぶことが大切です。

業者選びのコツは、実績が豊富な「大規模修繕専門」の会社を選んでおくと安心です。

関連記事:「大規模修繕の定義とは?改修・改良工事との違いや具体的な工事箇所について

マンション大規模修繕は白鳳にご相談を!

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今回は、マンション大規模修繕について解説してきました。

マンション大規模修繕に際しては、適切な人数かつ公平な人選で管理委員会を結成すること、予算にあった発注方法を選択すること、アフターケアまで考えてくれる業者を選ぶことが大切です。

マンションは建て替えまでに数十年という期間があります。その間複数回にわたって修繕が必要になるため、長期的なスパンでケアを考えてくれる優良業者に依頼することが、マンションを長く安全に保つことにつながります。

白鳳はお客様のご希望に寄り添った大規模修繕工事を実現します。

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