コラム

マンション修繕工事がうるさい時の対策

2021年6月23日

マンション修繕工事がうるさい時の対策

マンション修繕工事は、分譲、賃貸共に12年から15年周期で行われ、回を重ねるごとに工事範囲は増していくのが特徴です。 共用部分の劣化や不具合を修繕・改修することで、住環境と資産価値・生活水準の向上を計っていくマンションの修繕工事ですが、騒音によるトラブルが問題となることがあります。

工事業者は防音シートを使用したり、音の小さい機材を選ぶなどして対応しますが、騒音トラブルがなくなることはありません。 そこで今回は、マンション修繕工事がうるさい理由と、騒音への対策について解説します。

マンション修繕工事における「うるさい工程」

音に対する感度は個人差があります。ある程度の音が大丈夫な人もいれば、音に弱い人もいるため、苦情につながってしまうのです。 では、どのような工事内容で音が出やすいのか見てみましょう。

①足場工事

マンション修繕工事では外壁補修のため、「枠組足場」という仮の足場を設置するのですが、足場の材料は鉄なので、組み立て解体のときに独特の金属音が出ます。 足場を組み立てるとき、足場の倒壊や変形を防ぐ「壁つなぎ」を設置し、穿孔ドリルを使用して穴をあけて取り付けますが、その際に大きなドリル音が発生します。 また足場を組み立てる際に、足場材を下から高所に渡すため工事人の声が聞こえることもあります。

②外壁改修工事

外壁タイルの改修では、電動カッターを使ってひび割れが生じているタイルを撤去する際に、大きな音が出ます。 またタイルの剥離を防ぐため、建物に接着剤を流しこむ穴をあける際、ドリルの音が出ることもあります。 さらにタイル張り替え前には、外壁コンクリートの下地補修に電動工具を使用するため、ドリルやサンダーなどの稼働音に加えてコンクリートを削る大きな音も出ます。

③高圧洗浄機・掃除機の騒音

大規模修繕では、外壁や屋上の下地を高圧洗浄機で洗浄する工程があります。こちらは、仕上げを左右する重要な工程になります。 高圧洗浄機を使用すると、エンジンとモーターの力で高圧水が噴射され、エンジンの音や水を放射する音がします。
機種によっては遮音性の高いものもありますが、エンジン音は避けられません。 修繕工事において高圧洗浄機は使用頻度が高いため、人によってはエンジン音が苦痛になるでしょう。 また、作業現場のゴミを処理する掃除機も、騒音の原因になることがあります。

④舗装などの撤去工事

舗装の改修は、大規模修繕の中でも特に大きな音が生じます。マンションの敷地内、駐車場、道路等を改修する際に、既存のアスファルトを撤去しますが、その際にドリルの音、カッターの音が鳴り響きます。 また、工事範囲が広いと騒音発生時間も長くなる傾向があります。

⑤その他の騒音

マンション修繕工事中は、多くの作業員が従事するため、工員同士の話し声や足音も聞こえます。 敷地への出入口にガードマンが配置され、資材を運搬する車両やクレーン車の安全確保のため、大声で誘導することがあります。
また、作業が行われる場所に近い部屋では、テレビの音が聞こえづらくなってしまったり、常に騒音にさらされることでストレスが大きくなるといった事態も考えられます。 騒音が継続的に続けば、マンションの住人のみならず近隣住民からも苦情がくる可能性があるでしょう。

マンション修繕工事がうるさい場合の対策とは

マンション修繕工事ではどのような騒音対策が有効になるのでしょうか。

多様な生活スタイルを持つ人々

マンションでは普段の生活でもトラブルが起こりやすいものです。具体的には、 ・生活時間のずれ 生活パターンの違い ・赤ちゃんがいると振動に敏感になりやすい ・人によって音の感じ方は異なる 等の理由が考えられます。 夜間勤務がある人だと昼間の工事は大きなストレスになるでしょう。また、赤ちゃんのいる家庭では振動やホコリ、においに敏感になりやすいといえます。

マンション居住者には様々な生活リズムがあるため、管理者側で事前に報告をすることでトラブルを防ぐことができます。また、管理組合に工事業者側からの工事情報が行き届いていることで、組合側もトラブル発生時に動きやすくなります。 工事管理者側の事前挨拶においては、 ・工事開始と終了日 ・工事の時間と内容 ・施工業者の名前 ・特に大きな音がでる日、工事休みの日 などを居住者に周知しておくことが必要です。

修繕工事中の騒音対策

修繕工事中の施工者側での騒音対策には、以下のようなものがあります。

  • 事前に周囲に工事の周知をしてもらう
  • あらかじめ住人の許可を得ている時間帯に工事をする
  • 住民の隣に接している部屋では大きな音が出る作業をせずに、隣接していない部屋で作業をする
  • 窓を閉めて作業する
  • 吸音材などを使用して作業する

また、マンションでは管理規約によって工事ができる時間が決まっている場合があります。 住人が長く滞在する可能性が高い土日や、祝日は工事を休みにする、音が出ない作業をするといった対策によってトラブルが回避できる可能性が高くなります。

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騒音規制法とは

修繕工事に伴う著しい騒音は「騒音規制法」で規制されています。
際限なく騒音が発生することを防ぎ、適正レベルの音に抑えることを目的とした、人々の生活を守るための法律です。

騒音規制法では、甚大な騒音を出す可能性がある車両・道具を使用する工事作業を「特定建設作業」として規制しています。
特定建設作業を含む建設工事を行う業者は、市町村長など自治体の首長に対して届け出をする必要があります。

特定建設作業で規制される作業時間・騒音

建設作業でどの程度の騒音を規制するかは、各都道府県の自治体に委ねられています。 騒音規制法27条等では、法規制の他に各地方自治体が必要な規制を設けることを認めています。 例えば東京都の場合、一般的な住宅地域に当たる1号区域における規制は以下の通りです。

工事の時間帯(のべ作業時間)午前7時から午後7時までのうち10時間以内
連続作業日数 連続6日まで
日曜・祝祭日 作業禁止
騒音の上限 85デシベル

また、東京都の環境確保条例(※)では、以下のように騒音が規制されています。
(※外部サイトへ遷移します。)

<85デシベル以下>

  • 穿孔機を使用するくい打ち作業
  • インパクトレンチでの作業
  • コンクリートカッターでの作業
  • コンクリートミキサー車によるコンクリート搬入
  • 原動機を使用する「はつり作業」、およびコンクリート仕上げ作業

<70デシベル以下>

  • 圧入式くい打ち機、油圧式くい打ち機を利用した作業、穿孔機を使用するくい打ち作業
  • ブレーカー以外の削岩機を利用する作業
  • ブルドーザー、シャベル、バックホーなどの機材を使用する作業
  • 振動ローラ、タイヤローラ、振動プレート、振動ランマその他類する締固め機械を使用する作業
  • 動力火力などを利用して建物を解体、破壊する作業

<65デシベル以下>

  • 空気圧搾機を用いた作業

なお、各機材の使用許可については細かな基準があります。
例えば、空気圧搾機を用いた作業では「電動機以外の原動機を用いるもので原動機の定格出力15w以上を使用する作業、さく岩機として用いる場合をのぞく」という規定があります。
必要な時は、事前に調べておくようにしましょう。

日常生活等に適用する騒音規制基準値

工事中のマンションなどにおいて、騒音に関する法令が遵守されていても、人によっては大きな負担になることがあります。
工事の振動、騒音が生活を営む上で許容される限度を超えており、身体的、精神的、財産的な被害が生じていれば、施工業者などに対して損害賠償を請求することができます。

騒音が限度に達しているかについては、主に騒音や振動を客観的に測定したときの程度で判断されます。 工事の音が、騒音規制法・振動規制法・条例などで定められている上限値を継続して超えていれば、限度を超えているとみなされる可能性が高まります。
また、現在は騒音レベルが計測できるスマートフォンアプリも存在しますが、あくまでもアプリは騒音の目安を知るためのツールです。もし裁判の証拠資料として利用したい場合は、

  • 測定した日時
  • 場所
  • 測定方法
  • 結果

などを記録する必要があり、状況によっては測定の専門業者に依頼する必要があります。

裁判になった場合、精神的苦痛等は損害額の算出が難しいため、慰謝料や賠償金額については客観的に判断されます。 修繕工事で騒音・振動で問題が発生した場合、住民は市役所や町村役場に設置されている相談窓口に相談することができます。
例えば、東京都であれば各区役所、市役所に「公害苦情相談窓口」があり、必要に応じて業者側に改善勧告や改善命令が出されます。 住民側が「工事の音がうるさい」といきなり訴訟を起こすことは考えにくいと思いますが、できるだけトラブルを避けるためにも、工事の騒音や振動については、細心の注意を払っておきましょう。

関連記事:「大規模修繕の費用はいくら?工事費用の相場や足りない場合の対処法について解説

万全な騒音対策工事なら白鳳におまかせを

今回は、マンション修繕工事がうるさい時の対策についてまとめました。

マンション修繕工事に際しては、騒音対策などを徹底し、工事中も住人が安心して暮らせるように、必要な情報を適切に開示し、アフターケアまで考えてくれる業者を選ぶことが大切です。
マンションは建て替えまでに数十年という期間があります。その間、複数回にわたって修繕が必要になるため、長期的なスパンでケアを考えてくれる優良業者に依頼することが、マンションを長く安全に保つことにつながります。

白鳳はお客様のご希望に寄り添ったマンション修繕工事を実現します。

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