外壁塗装の時期が10~15年の理由は?塗装ができない6つの条件
2021年10月1日
外壁塗装の時期は、塗料の劣化をふまえて10年~15年を目安に行います。
その他にも、「外壁の劣化状況」や、「外壁材の種類」から外壁塗装の時期を検討するケースもあるので、その判断ポイントをまとめました。
また外壁塗装そのものができない6つの条件を解説していますので、マンションや工場などの建物がその条件に当てはまらないか確認してみましょう。
<目次>
外壁塗装の周期は10~15年!そのタイミングで行うのは?
外壁塗装は、10年~15年周期で行うのが一般的ですが、この周期は塗料の寿命を考慮してのものとなっています。
そもそも外壁塗装を行う目的には、美観を保つためというものがありますが、それよりも大きな目的として「防水性を高める」目的があります。
建物には鉄筋や木材が使用されており、浸水によってダメージを受けやすいため、塗装を適切な時期に行うことで、建物を保護することにつながります。また、外壁や塗料の劣化が深刻化する前に塗装を行うことで、補修作業が少なくなり、コストが抑えられるメリットもあります。
その他に、外壁塗装を行う基準として、外壁の劣化症状や、外壁材の種類から判断する場合もあるので、くわしく見ていきましょう。
「劣化症状」から外壁塗装の時期を検討する
建物の立地状況によっては、一般的な周期よりも劣化が速く進む場合があり、外壁塗装の劣化症状に気づいたらそのままにせずに、早めに対処することが大切です。
チョーキング
劣化症状としてはじめの方に現れる症状です。チョーキングは、白亜(はくあ)化とも言われ、外壁を指でさわったらチョークの粉のようなものがつきます。
紫外線などが原因となり、外壁の表面に塗装されている塗料がダメージにより分解され、その一部が粉状になって現れています。
防水の効果が発揮できなくなっているため、メンナンスでは、高圧洗浄などで表面の汚れをふき取った後、塗装を行います。
塗膜剥離
塗膜剥離は、外壁の塗膜に水分が入り込むことで、塗膜が水分を含み膨張していき、その一部が剥がれてしまう現象です。
塗膜の剥離が進行して広範囲にわたってしまうと、建物を適切に保護できなくなるので、早めに外壁塗装などのメンテナンスを行いましょう。
ひび割れ(クラック)
塗料の劣化が進むと雨水を吸収しやすくなり、乾燥と膨張を繰り返すことで、ひび割れが生じる場合があります。
そしてひび割れが生じると、その隙間から、雨水や虫が侵入する可能性があり、建物内部に深刻なダメージをもたらす恐れがあります。
露筋(ろきん)
露筋では、建物内部にまで傷みが生じた時に起きる現象です。ひび割れなど雨水の侵入が主な原因で、鉄筋の腐食が進み、膨張することで、外壁の表面が押し出され、腐食した鉄筋がむき出しになった状態です。
メンテナンスでは、むき出しになった鉄筋付近の除去や、錆落とし、欠落した部分を成形するなどさまざまな工程が発生します。建物のダメージは大きいので、早めの補修が必要です。
シーリングの劣化
シーリングは、外壁材の間を埋めるゴム状の素材のことで、スキマを埋めることにより、雨水などの侵入を防ぐ役割をはたしていますが、紫外線の影響により劣化が進むと、ひび割れや剥がれ、欠落などが生じます。
シーリングの寿命は一般的に5~10年ほどで、シーリングの補修では、古くなったシーリングを除去し、新しいものに打ち替えるのが主流です。
「外壁材」から外壁塗装の時期を検討する
日本サッシ協会の住宅用建材使用状況調査 によると、日本の住宅の外壁仕上げでは「窯業(ようぎょう)サイディング」が80.4%、その他のサイディングも合わせると、「サイディング」で実に全体の90%を占めています。過去に主流だった「モルタル」は5%程となっています。
そもそもサイディングとはパネルの形状をした外壁材で、モルタルなどの塗り壁と比べれば、工期が短く、費用が安く抑えられる特徴があります。
その中でも、シェアの高い窯業サイディングは、防火性・耐震性に優れ、多種多様なデザインが選べますが、撥水性が低いため、カビやコケが入ると、常時水分を含んだ状態になり、浮きがや反りが発生し、雨漏りの原因となることもあります。
なお、窯業サイディングの外壁塗装の目安は10年~15年となっています。
関連記事:外壁塗装 サイディング 時期
注意!外壁塗装ができない6つの条件は?
新築時に高機能塗料で塗装されている建物や、素材によっては外壁塗装そのものができない場合があります。
1.光触媒を施している外壁
光触媒の塗料は、酸化チタンが含まれた塗料で、太陽の光に反応して吸着した汚れを分解し、雨水ですっきりと洗い流してくれる、セルフクリーニングの効果を持っています。
清浄効果の他には、遮熱効果や、抗菌効果があるとされていますが、汚れを寄せ付けないため、新しい塗膜が定着しづらくなり、ハジキなど塗膜の欠落状況に陥りやすくなります。
2.撥水塗料で塗装している外壁
撥水塗料とは、水をはじく塗料のことで、鉄部への浸水を防いだり、美観を保つ効果がありますが、水をはじくため、塗料が定着しづらいのが難点です。
撥水塗料を行って15年以内であれば撥水性のある塗膜が活きた状態なので、外壁塗装は控えておいた方が良いでしょう。
3.特殊なコーティングをしている外壁
特殊なコーティングには、フッ素や無機塗料などを使用した高耐久塗料が挙げられます。
高耐久塗料には、紫外線や雨水などの天候の変化に強い、耐候性があるのが大きな特徴で、大型の建造物や紫外線のダメージを受けやすい場所に施す場合があります。
このような高耐久塗料で塗装している場合、外壁塗装を検討する一般的なタイミングでは、塗膜の劣化が生じていない場合もあるため、塗装をしても定着しづらく、剥がれる可能性があります。
4.サイディングを直張りしている
サイディングの直張りでは、柱にサイディングをそのまま打ち付けているため、通気性が悪く、壁内結露が生じやすくなります。
湿気による塗膜不良が起こりやすいことはもちろんですが、結露の影響でサイディングがすでに傷んでいることもあります。
サイディングの直張りは1900年頃に建築されたもので多く採用されていますが、この場合は塗装ではなく、外壁材の重ね張りや張替えを検討します。
5.隣の建物と30センチ以上の空間がとれない
外壁塗装では、外壁や屋根に塗装するために足場を組みますが、最低でも30センチ以上の空間がないと足場が組めません。
また隣の建物が近すぎる場合、塗料の飛散でトラブルに発展することもあります。隣の建物が近すぎる場合は敷地への立ち入り許可をもらうなど、作業の際には細心の注意を払わないといけません。
6.塗装できない屋根材を使用している
外壁塗装では、外壁だけではなく、屋根の塗装を行う場合もありますが、外壁塗装が適していない屋根材があります。下記はその一例です。
・パミール
・レサス
・シルバス
・コロニアルNEO
・アーバニー
・日本瓦
パミール、レサスなど屋根材そのものが劣化しやすく、塗装を施しても塗料が密着しないので、すぐに剥離してしまう可能性があります。
これらの屋根材を使用している場合、既存の屋根の上に新しい屋根をかぶせる、カバー工事か、既存の屋根を撤去して新しい屋根を葺く、葺き替え工事を検討します。
一方で日本瓦は、他の屋根材と比べて耐久年数が長く、耐火性や防水性に優れているため、塗膜で保護する必要がないとされています。
外壁塗装は1年の中でどの時期に行うのがベスト?
外壁塗装を行うなら、どの季節で行うのが最適なのか迷う人もいるでしょう。外壁塗装を行う季節については、塗料の性能がよくなっていることから、いつ行っても問題ありません。
ただ外壁塗装ができない条件に、「気温が5℃未満、相対湿度が85%以上の場合は塗装作業に着手しない」というものがあります。
外壁塗装では、塗料を乾燥させる時間が必要となるため、塗料を塗ってから一定の時間をおかないといけません。そのため気温が低すぎる場合は、塗料の乾燥に時間がかかるだけではなく、塗料の伸びが悪くなり塗料の塗りムラや、塗り残しが起こりやすくなります。
また湿気が多い場所や、結露が発生しやすい地域でも、塗料が乾きづらくなることがあるので、塗装作業を行う時期は検討しておいた方が良いでしょう。
参考:日本建築学会 建築工事標準仕様書(書籍)
1年の中でどの時期がおすすめ?
季節ごとに外壁塗装を行うメリット・デメリットをまとめました。
季節 | メリット | デメリット |
春 | ・春は気温と気候が安定しているため、塗装作業が予定通り進みやすい | ・春の嵐や長雨の影響で工事が遅延することがある ・人気シーズンであるため、希望する工期が叶わない場合がある |
夏 | ・晴れの日が多く、塗料がよく乾くため予定通り工事が進みやすい | ・夕立ちなどの急な天候の変化で、突然工事がストップしてしまうことがある ・室外機を養生するため、エアコンが使えない場合がある |
秋 | ・気温と天候が安定しているため、工期が希望通りに進みやすい | ・9月~10月は台風が発生しやすい時期であるため、工期が伸びる可能性がある ・人気シーズンであるため、希望する工期が叶わない場合がある |
冬 | ・9月~10月は台風が発生しやすい時期であるため、工期が伸びる可能性がある ・人気シーズンであるため、希望する工期が叶わない場合がある | ・日照時間が短く、塗装作業の時間が限られるため、工期が長期にわたる可能性がある ・気温が低すぎると塗装作業ができない ・雪が降る地域では、雪解けまで塗装作業ができない |
季節だけではなく、立地条件によっても外壁塗装の工程が変わってくることもあるため、塗装業者に事前によく確認しておきましょう。
外壁塗装を安くするコツは?時期によって違う?
外壁塗装では、安く仕上げるコツはありません。
例えば外壁塗装は、梅雨時期や冬でも条件がクリアできれば作業ができるため、閑散期に割引価格で提案を行う業者や、そもそも塗装ができない屋根材なのに出来る、と持ちかけてくる業者もいます。しかし、安くできるからとすぐに決めてしまうのは注意が必要です。
外壁塗装では、気候の変化に合わせた日程調整や、施工管理を適切に行わないと、施工不良が発生してしまうばかりか、外壁の劣化に合わせた塗装を施さないと建物全体のダメージにつながってしまう可能性があります。
そのため、費用の安さよりも、外壁の劣化状況に合わせてどんな塗装工事がされるのか、よく確認して進めることが大切です。
外壁塗装で失敗しない!業者選びのポイント
外壁塗装で失敗しないためには、優良な塗装業者を選ぶことが大切です。塗装業者の中には、高額な費用を請求したり、手抜き工事を行う悪徳業者もいるため、慎重に選ばないといけません。ここでは塗装業者を選ぶ際のポイントを紹介します。
1.外壁塗装工事業の許可があるか
外壁塗装はリフォーム業としての括りとなるため、免許や資格を持ち合わせていなくても、外壁塗装の工事を請け負うことができます。
そもそも塗装工事業の許可は、塗装以外の建設業の経験を7年以上持っている場合や、代表者または役員が、10年以上の塗装経験を持っている場合に取得でき、塗装や施工の実績を証明するものになります。
外壁塗装工事業の許可がないからといって、必ずしも技術面に問題があるとは言い切れませんが、国の審査や基準を通過していないと不安が残るため、外壁塗装工事業の許可の有無について確認しておくと安心です。
2.外壁診断を丁寧に行うか
外壁診断によって、塗装工事の内容や費用が大きく変わるため、外壁診断を丁寧に行う業者を選びましょう。業者の中にはササッと点検して一様に見積を作成する業者や、劣化状況を把握せずにただ塗装工事を行う業者も存在します。
外壁診断を行った後に、劣化状況の説明を行い、どんな工事内容になるのか細かく説明してくれる業者だと良いでしょう。そして工事に入る前に不明点や不安なところが残らないよう、しっかり打合せしておくことが大切です。
3.見積りが妥当か
塗装業者から見積りを貰ったら、塗装代一式などではなく、きちんと明細が書かれているか確認しましょう。外壁塗装には、足場の組み立てや、養生、下地処理などさまざまな工程が発生しますが、それらがきちんと含まれているか見ておくと安心です。
工事後に追加料金として請求される場合もあるので、見積りには何が含まれているか、きちんと確認し、納得した上で業者と契約しましょう。
マンション・工場などの外壁塗装はお任せ!白鳳にご相談を
外壁塗装を行う時期について解説してきました。
外壁塗装では、天候不良などのアクシデントがつきものであることから、施工管理に長けている、実績のある業者を選ぶことが大切です。
外壁塗装は10~15年周期で行いますが、外部環境によりメンテナンスが時々で発生するため、長期的な付き合いができる優良業者に依頼することが、建物を長く安全に保つことにつながります。
白鳳はお客様のご希望に寄り添った塗装工事を実現します。